ヴァニラ画廊が主催する「シリアルキラー展2024」。
怖いもの見たさで行ってみたけど、気づけば内容の濃さに圧倒され、深い考察へと誘われている自分がいたんだ
今回はシリアルキラー展2024の見どころや印象的だった展示物など、実際に訪れた僕の目線でレポートしたので、興味がある人は参考にしてみて欲しい。
一部ネタバレになる内容を書いてあるけど、この展示会では撮影NGだし、文字で説明するより実物を見た方がより深く理解できると思うので、実際にシリアルキラー展に足を運ぶのをおすすめ。
きっかけは怖いもの見たさ
そもそもなんでこんな展示会に行ったのかというと、一言で言えば「好奇心」だった。
僕は犯罪を犯す予定も無ければそんな度胸も無いけど、たまたまX(旧Twitter)を見ていた時に目に止まって、こういったシリアルキラーと呼ばれる人々がなぜ殺人という凶悪な行為に手を染めてしまうのか、興味があったんだ。
正直な話、怖いもの見たさという気持ちも大きかったよ。
だけど、実際に展示物を目の当たりにして、彼らの生い立ちや犯行に至るまでの経緯を知ることで、単なる「悪人」というレッテルでは片付けられない、複雑な人間ドラマが浮かび上がってきたんだ。
シリアルキラー展は事前にチケット購入が必須
意外と知らなかった人が多かったのか、チケットはオンラインチケット制、つまり事前にも公式サイトでチケットを購入しておかないといけないこと。
なんでこんなことわざわざ書いたのかというと、実は僕が行った当日にこのシステムを知らずに会場に来た人が何人か目撃したんだ。
この展示会では当日券の販売は無く、入場日時を指定して購入するオンラインチケット制なので要注意。
- 開催期間:2024年4月27日(土)~5月26日(日)
- 場所:ヴァニラ画廊(東京都中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F)
- 入場料:2,000円(オンラインチケット制)
受付でチケットを提示するとパンフレットが手渡される。
ちなみに指定できる時間帯は👇を参考に。
⌚入場時間
- 11:00~11:50
- 12:00~12:50
- 13:00~13:50
- 14:00~14:50
- 15:00~15:50
- 16:00~16:50
- 17:00~17:50
- 18:00~18:30
展示物は絵以外にもいろいろあって
🖼展示物
- 絵
- 写真
- 手紙
- 書物
- 指紋
- 髪の毛
- 建物の欠片
など、絵以外にも髪の毛やその人が持っていた書物まで生々しいものもあった。
シリアルキラーの定義
そもそもだけど、この「シリアルキラー」とは何なのかを整理する必要がある。
シリアルキラーとは連続殺人犯とも呼ばれ、一般的に異常な心理的欲求のもと、1か月以上にわたって一定の冷却期間をおきながら複数の殺人を繰り返す連続殺人犯に対して使われる言葉なんだ。
共通点として
- 2人以上の人を殺害したことがある
- 殺害は複数の事件で行われ、それぞれが個別の時間や場所で発生している
- 犯行は犯人の心理的欲求に基づいており、しばしば性的な動機や支配欲、あるいは異常な興奮などが関与している
- 犯人はしばしば犯行の前後に異常な行動やパターンを示し、犯行の隠蔽や被害者への接近方法などに特徴があることが多い
これらを頭の片隅に入れておけば展示会に行った際の指標になるかもしれないので参考までに。
シリアルキラー展の印象的だった人物たち
どの展示物も興味深く、自画像以外にある人物の髪の毛や建物のコンクリートの欠片が展示されていたりと、どれも不気味で異色だった。
展示物を見るたびに、なぜ彼らはこのような凶行に手を染めたのか、その心理を読み解こうと自然と頭が働いていたね。
部屋自体は広くは無かったけど、平日にもかかわらずお客さんはかなり多かった。
僕の場合、16:00~にしたけど、この時の客層が若い女性が多かったね。カップルで来ていた人もいたし。
どのシリアルキラーもインパクトがあったけど、僕が特に印象的だったシリアルキラーを3人紹介していこうと思う。
1.エドワード・ゲイン
僕が個人的に一番見たかったのが、この「エドワード・ゲイン」。
この展示会の顔とも言える「殺人ピエロ」ことジョン・ウェイン・ゲイシーが大々的に飾られている対し、ひっそりと展示スペースは控えめだったけど、その内容は濃密で、猟奇的な度合いは他の凶悪犯にも引けを取らない存在感がある。
というのも、エドワード・ゲインは殺害人数こそ少ないものの、遺体を墓からあばき、死体を加工して皮や骨で服や家具を作り普通に日常生活を送っていたなど(人肉を食したともいわれているけど、本人は否定)、常軌を逸した常軌を逸した行動で知られている。
あまりにも猟奇的で衝撃的な犯行から、後に映画「羊たちの沈黙」に登場する殺人鬼バッファロー・ビルのモデルになるほど、多くの映画作品のに影響力を与えている。
このような猟奇的な行動の背景には、幼少期に母親オーガスタの厳格かつ信仰深く禁欲的な教育により、この母親が無くして以降に起こしたものらしい。
歪んだ愛情の結果エドワード・ゲインはシリアルキラーの代名詞として世間を騒がす存在になる。
ただシリアルキラーとくくられているけど、彼が殺害したのは分かっているだけど2人と少ない。
これは遺体を墓からあばき、その遺体から日用品を作ったり皮を剥いで被るといった家庭環境の異常性が猟奇的な犯罪行為を生む典型的な象徴として彼もシリアルキラーの特徴の多さから紹介されているのかもしれない。
最終的に彼は逮捕されたけど、裁判の結果、精神異常で無罪になったものの1984年に病死した。
展示会ではエドワード・ゲインが使用していたとされる聖書も見ることができるけど、展示物の説明欄を読んだ後だとなかなか生々しい。
彼の展示物に絵は無く、聖書など小物系がほとんどだから目立たたないけど、生い立ちなどを知っているだけでも印象が随分と変わると思う。
2.ジョン・ウェイン・ゲイシー
次はポスターやパンフレットなどの顔にもなっている「ジョン・ウェイン・ゲイシー」だ。
後に映画「IT」のモデルとなった人物といえばイメージしやすいかも。
1972年から1978年の間に、少年を含む33人を殺害したとされていて、「殺人ピエロ」の異名が付けられていること。
これは、彼がシカゴの近郊で地域社会における様々な慈善活動に貢献する一方、その際によくピエロに扮していたから。ピエロの衣装で子供たちを油断させたのと同時に物色も兼ねて、若い男性を誘拐しては殺害していたんだ。
ゲイシーは自宅地下室に秘密の部屋を作り、そこで被害者を拷問し、性的虐待を加えた後に殺害。彼の犠牲者の多くは10代の若者であり、彼らの遺体は地下に埋められたり、川に投棄された。
最終的に1978年、少年の失踪事件を捜査していた警察によって逮捕されたけど、ゲイシーの自宅地下からは、20体以上の遺体が発見され後に33件の殺人罪に有罪判決を受け、1980年に死刑判決を、刑が執行されたのは1994年。
ジョン・ウェイン・ゲイシーに至ってはお金に困っているわけでも無く、むしろお金もあって社会的地位も高い。それなのにこの凶行に至ったのは家庭環境が影響しているのかもしれない。
というのも、ジョン・ウェイン・ゲイシーは、生まれながら心臓疾患を抱え、それに失望した父から肉体的、精神的な虐待を受けていたらしいんだ。
幼少期から同性に興味があったらしいけど、1972年に一夜を過ごしたティモシー・マッコイという少年を殺害したのをきっかけに一線を越えてしまったようだ。
肝心の展示物は、絵は色彩がカラフルなものが多かった。さすがこのシリアルキラー展の顔ということもあってか、絵の数がトップクラスで多く目立っていたね。
他の人の絵もカラフルな色彩だけど、彼の絵は油絵みたいなデッサンで、ポスターにもなっているピエロの自画像やディズニー作品「白雪姫」に登場する「7人の小人」がベースになった作品が展示されていた。
「何で7人の小人?」って疑問に感じたけど、これも彼の心情を絵に表した結果なのかな?。小人といっても子供じゃないし。
このギャップが彼の狂気性を象徴しているようにも見えるけどね。
余談として、あまり聞きなれない「道化恐怖症」というものがあって(ピエロ恐怖症、クラウン恐怖症とも言われている)、これはメイクしたピエロを見ると、本来ゆかいなおどけものを象徴したそのキャラクターに対して恐怖感、不気味さを覚える病的な恐怖症がある。
このピエロに恐怖を与えた代表的な存在として挙げられる人物の一例が、まさしくジョン・ウェイン・ゲイシーなんだ。
3.ハドン・クラーク
このシリアルキラー展で生々しくグロテスクな絵が並ぶシリアルキラー展の中で、ひときわ異彩を放っていたのが「ハドン・クラーク」の作品だ。
例えばジョン・ウェイン・ゲイシーならピエロ、犯行を告白した手紙にスマイルマークを描いた「ハッピーフェイスキラー」ことキース・ジェスパーソンは、顔の皮が剥げだ自画像の絵などインパクト抜群の作品が多い中、ハドン・クラークの少女の絵は個人的に印象深かったんだ。
一見普通の少女の絵に見えるけど、よく見るとブドウやスイーツ、動物などとセットで描かれていて、その横に少女は手話のような手の動きをしていたんだ。
絵自体は特に嫌悪感を抱くようなデザインじゃなく、普通といえば普通。
特別絵が上手というわけでも無く下手というわけでも無い感じ。
ハドン・クラークについてはこの展示会で初めて知ったから自宅に帰った後も僕なりに調べてみたけど、日本語の「ハドン・クラーク」と調べても情報がほぼ皆無だった。
英語で「Hadden Clark」で検索するといくつか情報がヒットしたので簡潔にまとめた。
幼少期にアルコール依存症の両親による度重なる喧嘩、母親からの女装の強要、友人のペットの殺害と解剖など、彼の過去には多くの闇が存在していたんだ。
母親からは「女の子が欲しかった」という理由で女装させられていたらしい。
海軍の料理人として勤めていた時期もあったけど、1985年に除隊。
1986年に6歳の女の子、ミシェル・ドーラを、1992年にローラ・ホーテリングを殺害し彼は殺害した女性の遺体を食べており、「女性の血を飲んで、女性になりたかった」と語っている。
最終的に逮捕され、今も収監中。
こう聞くと彼が少女の絵をモチーフにしていたのは性の対象というより、深い孤独、そして救いようのない絶望が込められた、魂の叫びが少女の絵になったのかな?。
シリアルキラー展は初見では理解できない
初めて訪れたシリアルキラー展の率直な感想としては、1回では処理できない。初見は衝撃的な内容や絵に驚き理解が追い付かなかった。
絵を見た感想は何とも言えない感覚だった。
絵が上手とかとい感情よりもなぜこんな絵を描いたのか?、この作者は女性にコンプレックスを感じているのか?といった疑問が頭を巡り、思考が整理できないほど。
中には、一見するとポップなアート作品にも見えるものもあったけど、その裏に隠された狂気が、見る者に恐怖を感じずにはいられなかった。
この展示会にわざわざ来る人もすごいけど、この展示物をコレクションしている人もすごい。来る人、展示する人、なんか妙な関係性を感じる。
ただシリアルキラーに共通する特徴も見えてきた。
多くが結婚経験があり、離婚後に再婚を繰り返しているようだ。例外もあるけど。
また、幼少期の両親からの肉体的、精神的な虐待を受けているケースも目立った。
中には世間から評判も良く、地域社会に貢献していたり、カップルで殺人を犯したケースもあり、その動機や犯行方法は様々。
この展示会を通して、もはや「普通」とは何か、「まともな人」とは何なのか?正気と狂気の境はどこなのか?自身の倫理観、善悪の価値観が試されているようにも感じたんだ。
何とも奇妙な体験で決して万人におすすめできる展示会ではないけど、興味がある人は体験してはいかがだろうか?。
人の心の闇と狂気について深く考えたい人、衝撃的な体験を求めている人にとっては、非常に興味深い展示会になっているといえるしね。