97年12月18日に発売されたこの作品。
ロックマンシリーズは何個か遊んだが、この作品を超えるものはないと今も思っている。
今回はその理由と魅力をレビューし、一人でも多くの人に共感していただければと思う。
ロックマンdash鋼の冒険心とは
ロックマンシリーズ初の3Dアクションゲーム。
ジャンルとしてはフリーランニングRPGといい、いろいろな所に好きなタイミングでいけるのが特徴になっている。
従来の横スクロールとは明らかに違うアクション性を求められる。
今までのロックマンの世界には、自然があまりなかったが、この作品はかなり多く、明るく、ポジティブなイメージ。
他の作品とはある意味、正反対な世界観になっている。
世界観
大陸のほとんどが海に沈んでしまった世界。
小さい島はそんざいするが、大陸がほとんどないのは過去に高度な文明が発達した時代に大きな戦争が起こり、大陸が海に沈んでしまったらしい。
それらは今、遺跡になっており、現代の人々はこの遺跡から道具や部品などインフラに欠かせないものを探して生活している。
この仕事を生業としているひとを「ディグアウター」と呼んでいる。
(遺跡に入る呼称はディグアウトという)遺跡の中にある物が以下にある。
・ディフレクター・・・六角柱型の結晶体。小さい物はお金の価値があり、
大きい物は機械の動力源に利用される。
・武器のパーツや設計図・・・主に壁に空いた穴や宝箱に入っている。
バスターを強化するものから特殊武器などを作れるものがある。
・美術的に価値のあるもの・・・これも壁に空いた穴に入っている場合がある。
これを美術館で鑑定すると飾ってくれる。
だが、これらを手に入れるのは容易ではない。
なぜなら「リーバード」という番人がいるからである。
リーバードとは?
遺跡に侵入してきた者を執拗に攻撃してくる機械。
見た目は豆タンクタイプや腕に刃やハンマーがついている者、魚タイプなど千差万別。
倒すとディフレクターを落とす。
しかも、遺跡にはトラップも仕掛けられている。
おまけに、一度入るとセーブができない所がほとんどなので、入念な準備が必要になる。
登場人物
・ロック・ヴォルナット
主人公。14歳ぐらいの少年。赤ん坊のころにバレルに拾われ、以降、キャスケット一家の一員と なり、ディグアウターの仕事をしている。
皆からは「ロック」と呼ばれるが、一部からは「青い 人」、「青いの」と呼ばれる。部屋はシンプルで物があまりない。
見た目は従来のロックマンと違い、ロボット感が強い。
・ロール・キャスケット
ロックの幼なじみ。14歳の少女。飛行船フラッター号の操縦士。ロックがディグアウトしてきた部品などでパーツや武器の作成、改造が担当している。また、ディグアウト中のロックを無線でサポートする。部屋は女の子らしい部屋だが、半分は機械の装置で占められている。
・バレル・キャスケット
現役の時は「不死身のバレル」と呼ばれていたらしい。今は引退し、ロックとロールにアドバイスをしている。部屋には骨とう品や書物がたくさんある。
・データ
ロックが発見された時からそばにいるおサル。「ウキッ」と言っているが、ロックとだけは話すことができる謎の多いおサル。セーブやエネルギー回復、アドバイスをしてくれる。
以上が、ロックの仲間たちの詳細だ。
次にボーン一家を紹介しよう。彼らは空賊という、空の海賊の三兄弟。
島から島へ移動し、そこのお宝を頂きながら生計を立てている。
ゲセルシャフト号を拠点としている。
悪いことをしているが、どこか憎めないコミカルな人物たちだ。
・長男ティーゼル・ボーン
長男でもあり、リーダーでもある。外見はごつく、言葉も少し荒々しいがその見た目に似 合わず、知性はでもある。意外と戦略家。作戦が終了した後は反省会をするなど結構マメな性格。
・長女トロン・ボーン
巨大メカを開発するメカニック。後述紹介するコブンたちの親みたいな存在。
ロックの前では基本的に上から目線で、よく怒っているが、
ロックのことが気になる存在のようだ。ちなみに犬が苦手。
・次男ボン・ボーン
最前線で戦う専門的な立場。見た目は他の2人よりはるかに大きく、完全メカだが、まだ赤ん坊。それゆえ、しゃべる時は「バブー」としか言えない。
・コブン
トロンが開発した部下。全部で40人いる。
メカの操縦から整備、戦闘、食事当番などをこなす。
食事はカレーライス(OPのデモ画面でそれらしき物が見える)が定番。
彼らは敵ではあるが、どこか憎めなく、結構人気があるようだ。その証拠に「トロンにコブン」というスピンオフ作品が出るくらい。
システム
ここからは基本的なシステムの紹介。
サブストーリが存在する。
基本的にはディグアウトしダンジョンをクリアするメインストーリーだが、今作はサブストーリーが存在する。これはクリアせずにメインストーリーを攻略することは可能だが、このサブストーリーでしか手に入らないアイテムもあるので、攻略すればメインストーリーがスムーズに進めることも可能。
カスタマイズが豊富
また、ロックの武器も従来とは明らかに違う。左腕がロックバスターだが、右腕は特殊武器とわかれており、カスタマイズが可能になっている。
それぞれの性能が以下だ。
ロックバスター・・・パーツの組み合わせに寄って性能が変わり、強化できる。
・攻撃(ATTACK)・・・数値が多いほど攻撃力アップ
・弾数(ENERGY)・・・数値が増えるほど1度に撃てる弾数が増え、
MAXになると無限に出る。
・射程(RANGE)・・・数値が増えるほど射程距離が延びる。
・連射(RAPID)・・・数値が増えるほど連射速度が上がる。
特殊武器・・・基本的にはバスターより性能がいいが、癖が強い。
強化できる所は以下。
・攻撃(ATTACK)・・・ゲージが多いほど攻撃力アップ
・弾数(ENERGY)・・・ゲージが増えるほど残弾数が増え、
MAXになると無限に使える。
・射程(RANGE)・・・ゲージが増えるほど射程距離が延びる。
・連射(RAPID)・・・ゲージが増えるほど連射速度が上がる。
・特殊性(SPECIAL)・・・強化することで追尾能力が上がったりと
武器によって個性が違う。
ちなみに、僕が好きな特殊武器を紹介する。
・パワードバスター・・・射程距離が長く、攻撃力も高いが、連射ができないうえ
撃った後のスキがおおい。比較最初の方から手に入る。
しばらくはこれを装備しても問題ないくらい優秀。
・アクティブバスター・・・初期状態の時は使い物にならないが、強化することで
全てのパラメーターは強化でき、最終的には弾数も無限になる
うえ、ホーミング機能も飛躍的に向上する。
ただし、ものすごくお金がかかる。
・ブレードアーム・・・エネルギーのブレードで目の前の敵を切る。
その性能ゆえ、近距離状態でしか機能しない。
実用性は低いが、個人的には一番好き。
・シャイニングレーザー・・・高出力の貫通するレーザーを照射する。
照射している間は、ダメージを与え続けることが可能
だがその間は、動けない。
お金がすごくかかるが強化すれば弾数が無限になる。
特殊武器はいずれもクセがあり、お金がかかるが、優秀だが、使用回数に制限があり、ディグアウト中は、回復手段もないので使いどころが重要になる。
いい所
個人的にこのゲームの良かったところを以下に記載する。
・自由度の高さ。
・キャラクターが魅力的
・BGM
詳しくは以下より紹介。
自由度の高さ
今作の最大の魅力の一つともいえる島中を探索できること。
とにかく自由度が高い。
ストーリーを進めることで行ける場所も増えるが、ストーリーとは関係なく寄り道したくなる
遊び心がある。
例えば缶蹴りしたり、車の上に乗って街中をドライブしたり、屋根にジャンプして屋根から屋根へ移動したりと。ハッキリ言って意味はないが。
だが、これをやりたくなる誘惑がある。
また、家や施設が戦いで壊れてしまうリアリティがある。
そのままにして先に進むことも可能だが、これらを寄付することで、直すことも可能。
魅了的な住人
メインのキャラ以外にも八百屋さんや市長、アイラなど島の住民との交流が豊富なのがポイント。
特に、八百屋さんの奥さんやアイラなどはサブストーリーで絡んでくる。
例えば、アイラは車いすで入院している少女で手術をしなければならないが寄付をすれば歩けるようになる。が、寄付をしないと車いすの状態でエンディングを迎えてしまう。
つまり、島の住民とは積極的に交流しないと、いつこのタイミングが来るのが分からないのだ。
自分からコミュニケーションをとることで「あの人あれ欲しがっていた」などの情報を手に入れることでその人の生活感が見えてくるので自然と愛着が生まれる。
また、サブキャラ以外の名前のついていない、いわゆるモブキャラにもいえる
がこのゲーム、少し先にストーリーを進めると話す内容が変わるのだ。
話す内容を逃さないようにするためにしょっちゅう話かけてしまうのでなかなか先に進まない。
また、配置も同じ場所にはいないので島中を探索しなければならないのだ。
ちなみに、このゲームのキャッチコピーは「出会った人の顔、おぼえていますか?」と、まさにその通りである。あの人、今、何しているかな?っと気になってしまう魅力がこのゲームにはある。
BGM
作中で流れるBGMが個人的に気に入っている。
特に、美術館のBGM。当時は分からなかったが、今作のBGMはバッハの「G線上のアリア」を
ベースにしている曲だと後でわかった。エヴァンゲリオンだけじゃなかったのか・・・。
イマイチと感じた所
ちょっとな~と思った所を以下にまとめる。
・怖い
・かんたんモードが面倒
・お金がかかる
・ロックオン機能が使いずらい
・ロックの謎
怖い
このゲームを遊んで感じたこと。それはシンプルに怖いと感じた。
まず、ダンジョンのリーバードが急に現れるのでドキッとする。
また、街中を歩いている時に死角から車がいきなりきてひかれるときにびっくりする。
ゲームーバーした時のBGM、空中戦時のロールちゃんの悲鳴から画面が真っ白になる絶望感。
ポップで親しみやすい印象が強いこの作品とは思えない絶望感が辺りを漂う。
かんたんモードが面倒
このゲームの「ふつう」を3時間以内にクリア、もしくは「むずかしい」難易度をクリアすると「かんたん」難易度が出る。
「かんたん」難易度の特徴は以下。
・すべてのパラメーターMAXになる「マキシマム」パーツを所持
・移動が楽になるダッシュパーツを所持
・敵を倒した時に落とすお金が多く手に入る。
とにかくメリットしかない「かんたん」モードだが、これが面倒。
というのも、いったんゲーム機の電源を落とし再度、遊ぼーっと思っても
タイトル画面でこの難易度は出てこない。つまり、こうゆうこと。
タイトル画面⇒「かんたん」がない⇒もう一度ラスボスクリア
⇒エンディング⇒タイトル画面⇒「かんたん」が出現する
といったように面倒くさい。引継ぎ要素がないためにこのような形になったの
かもしれない(クリアデータで最初から的な)。「2」では改善されている。
お金がかかる
今作はとにかくお金がかかるゲーム。主な費用は以下。
・ライフゲージの最大値を上げるパーツ
・防御力が上がるボディパーツ
・ロックマンシリーズのE缶のようなポジションのエネルギーボトル
・バスターを強化するパーツ
・特殊武器の強化
・建物が壊された場合の復興支援
特に、特殊武器にはとにかくお金がかかる。お金を稼ぐだけで一日が終わって
しまうこともあるぐらい時間がかかる。それに見合った強化はできるが・・・。
ロックの謎
肝心のロック誕生の秘密が謎のまま終わってしまう今作。
「2」ではそれが明かされるがあまりにも「1」ではその話がなさすぎると感じた。
一応、次作に繋がるようになっているがちょっと情報量が少ないと思った。
総評
色々荒い所もあるが、総合的には一番面白いロックマンシリーズだと思っている。
上記で書くのをわすれてしまったが、悪いことをするとロックの体の色が黒くなってしまう(悪いこととは例えばお金をネコババしたり、自販機を壊したりなど)。この状態でのストーリーに支障がないが、住民の評価が悪くなりセルフも悪い印象を聞ける。逆に、いいことをしていると(復興支援をしたりなど)評価が上がり、良い印象を与えることができるいわゆる「好感度」というものがある。細かい演出があり、完成度の高いゲームだが、肝心の売上はイマイチだったようなので、
このゲームが好きな一人のファンとしてはもどかしさを覚える。
ロックマンdashは好きなゲームだけにできれば自分が生きている間に「3」も作ってほしい。それが無理ならぜひクラシックコレクションみたいに再販されてほしい。
ぜひ、今回の記事をきっかけに一人でも多くのファンが増えてほしいと願っている。